PAGE... 1|2|3|4
バリアフリーの多元化
‐コニャック・ジェイ病院
Photo&Text; Shun Kambe
地域の共有空間演出としての建築物
2006年、パリ15区に誕生した伊東豊雄による初の海外プロジェクト、コニャック・ジェイ病院が地域の共有空間として機能し始めている。ブロメ通りとムロン通りに挟まれた敷地に建つこの建築は、ファサードをガラスのカーテンウォールで覆い外部の街並との連続性を成立させている。現代建築の持つ特有の硬質感を覚えさせない出来映えだ。建築物としての地域の共有空間演出である。自然光を最大限に活かした採光設計や、プライバシーが保てる程度の半透明なガラスのファサードなど、住宅街という立地条件に溶け込む柔和な空間演出の仕掛けがいたるところに凝らされている。しかしながら、地域の共有空間としてドラフトされたこの施設の核にあるのは、建築物よりむしろ中庭の存在である。この中庭の存在こそが病院という都市インフラに公園と同等の性格を持たせ、中庭の利用者を病院関係者のみに限定しない状況をつくりあげているのだ。
ブロメ通りとムロン通りに面するファサードは、ガラスのカーテンウォールで両側の建物との連続性を保存しつつ、アルミサッシュによる垂直のマリオンで建物ブロックのリズムを保存した。ガラスには樹木のパタンがプリントされており、特に中庭側ではレース飾りに包まれたような優しい雰囲気が印象的だ。
PAGE...1|2|3|4